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拖刀背砍の計(タトウハイカン) (一巻 272)
●計の説明
「刀をひきずって敗走するふりをし、敵が接近してくると、いきなり振り返って斬りつける。」
(第十二回の注より引用)
●計を立てた人
曹洪
●計の対象
何曼(カマン)(黄巾賊の残党)
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拖刀の計 (ニ巻 481)
(ハイカンの字が無くなっているが、計の内容は変わらない)
●計を立てた人
関羽
●計の対象
黄忠
黄忠は、逃げるふりをする関羽を追いかけた。
追いかけてきた黄忠を関羽が振り向きざまに斬ろうとしたさい、黄忠の馬がつまづいて黄忠が落馬してしまう。
関羽は落馬した黄忠を斬らず、勝負を仕切り直すことにした。
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拖刀の計 (三巻 161)
●計を立てた人
夏侯淵
●計の対象
楊任(ヨウニン)(張魯の部下)
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拖刀の計 (三巻 311)
●計を立てた人
龐徳(ホウトク)
●計の対象
関羽
しかし、この拖刀の計はフェイントで、龐徳は関羽に向けて矢を放ち、関羽の肘に命中した。
これは龐徳にとって勝機となったが、龐徳の味方が龐徳が手柄を立てることを恐れ、龐徳を引き返させた。
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上記のすべての事例は、一騎打ちの決着がなかなかつかない状態から行われている。
つまり、武器による戦闘の腕はほぼ同等、という条件が満たされてはじめて使われる計。
その上で、ほんの少しだけ機転をきかせる知恵があった、あるいは精神的余裕があった(一騎打ちに夢中になることなく状況を客観的に見ることができた)側が勝った、という感じに見受けられます。