競争者、競争の設計者、教育者にオススメの書。
競争に関して、科学的な調査結果をもとに、さまざまな知見が書かれている。
内容をいくつかあげると......
・「競争」と「協調」は相反するものではない。
競争が成立するためには、競争者がその競争のルールを守る(ことについて協調する)必要がある。
また、だいたいの競走はチーム同士で行われるので、チームメイトとの協調が不可欠になる。
・競争力には、「適応競争力」と「不適応競争力」の2つがある。
「適応競争力」の性質
決意と忍耐力をもって問題に立ち向かう。
いかなるときもルールを尊重する。
負けても、価値ある努力に満足する。
自分が訓練をしている領域では、ベストになろうと完璧主義者にもなるが、それ以外の領域では完璧を求めない。
成長には長い時間が必要だと知っているので、喜びの先送りができる。
現時点でのランクや地位は過度に気にせず、優れた存在を目指して努力する。
「不適応競争力」の 性質
不安感や歪んだ衝動が見られる。
自分が一番でなくては気がすまない。
負けを受け入れられない。
競争終了後も、他者と自分を比較するのをやめられない。
周りが競争していないときでも、競争したがる。(相手を挑発して競争しようとする)
競争終了を告げられても、止まろうとしない。
勝てないときに、不正な手段を使おうとする。
「適応競争力」は生産的な変革をもたらすが、「不適応競争力」はそうではない。
「適応競争力」を育てる必要がある。
・ポジティブ思考はモチベーションアップにつながる。
しかし、ポジティブ思考をやり過ぎれば批判的思考が失われてしまい、問題解決能力が低下する。
・競争することでパフォーマンスが上がる人もいれば、下がる人もいる。
(子供を対象に調査した研究では、50%が競争によってパフォーマンス向上、25%がパフォーマンス変わらず、25%がパフォーマンス低下、とのこと)
などなど......
「競争することで、25%の人のパフォーマンスが下がる」ことには、よくよくご注意。
あなたが誰かの教育、あるいはパフォーマンスの管理をするさいに、その対象者がこの25%に該当するのであれば、無理に競争させることで相手の能力やパフォーマンスを潰すことになりかねない。
これらの知見以外にも、競争に関する洞察を深め、競争の助けとなる内容ばかりなので、とてもオススメです。