「スキルを身につけた状態」とはどういう状態なのか?
それは、「そのスキルを反射的に実行できる状態」のことです。
(無意識にできる状態、とも言えます)
もう少し細かく言いますと、実践において反射的に判断し、反射的に決断し、決断したことを実行する操作を反射的に行うことができる状態のことです。
ですので、
「3つのスキルを反射的に実行できるようになること」
が、トレーニングの最終的な目的となります。
では、どうやって反射的に実行できるようにするのか?
それは、繰り返すことです。
トレーニングや学習は、繰り返し(反復)です。
自分が鍛えるべきスキルを繰り返して行い、頭でいちいち考えずにできるようにするのです。
(指や手で覚える、と言われるものです)
頭でいちいち考えずにできるようになれば、それは反射的に実行できるようになった、ということです。
では、それぞれのスキルでどういったことを繰り返せばいいのか、その方法を、スキル別に見ていきましょう。
●●●知能的スキルの身につけ方●●●
●情報収集スキル
【読むスキル】
文字を読むのが苦手ですって?
なるほど。
もし読むスキルを高めたいのなら、まずは自分にとって興味のあることを見つけましょう。
そして、その興味のあることについて、文章で書かれているものを見つけましょう。
絵本、児童書、雑誌、ブログ、なんでもよいです。
本ならなるべく薄く、文字の量が少ないものから読んでみましょう。
わからない言葉があれば、その場でスマホなどを使って、意味を検索して調べてみましょう。
(わからない言葉をそのままにしていては、文章が何を言いたいのかが理解できません。
ここがしんどいところですが、一日一単語でもかまわないので調べましょう)
そうして、読める言葉を少しずつ増やし、読む文字の分量も少しずつ増やしていきましょう。
興味を持つ分野にもよりますが、最終的には学術的な本にまで到達すると思います。(だんだん買う本の値段が高くなっているなら、いい感じです)
大事な点は、
「自分にとって興味のあることを見つけること」と、
「知らない言葉を調べること」です。
この2つのポイントは、強く意識しましょう。
【観察スキル、検証(試行錯誤)スキル】
すでに誰かによって解明されていることなら、本などに書いてあるので読めばよいです。
しかし、誰によっても解明されていない(わかっていない)、あるいは解明が不十分だと感じるなら、自分で実際の現象から調べるしかありません。
・観察スキル
まずは解明したい対象を観察しましょう。
よく見て、特徴(目立つ点)や、他との違いなどを探しましょう。
表面の観察がすんだら、その内側の仕組み(構造)を見ましょう。
そうすることで、新しい知識が得られます。
・検証(試行錯誤)スキル(いろいろ試すことを試行錯誤といいます)
解明したい対象について、「これってこういうことじゃないの?」と思ったら、本当にそういうことなのかどうか、試してみましょう。
何回も試してみて何回も実際にそうなったのなら、なぜそうなるのか、その証拠を見つけましょう。
その証拠による「なぜそうなるのか」の証明こそ、新しい知識です。
試してみて失敗したら、別の方法を試しましょう。
この2つのスキル(観察スキル、検証スキル)を身につけるうえで大事なことは、読むスキルと同じく、
「自分にとって興味のあることを見つけること」
です。
興味のあること、つまり自分が知りたいことを知る、という行動そのものが、この観察と検証という2つのスキルを鍛えます。
●判断スキル
【「判断基準をつくるための試行錯誤」スキル】
まず、ゲームの知識を知り、そしてゲームの目的(あるいは目的を達成するまでに存在する中間目標)を明らかにします。
次に、自分(や操作するキャラクター)がゲームの中で何ができるのか、手段を明らかにします。
そして、手段をどのように組み合わせれば目的を達成できるのか、考えます。
そうして考えていくと、
「こうすればいいのではないか?」
というアイデアが浮かびます。
そのアイデアを試しに行ってみましょう。
失敗したら、アイデアに修正を加えて再び試します。
何回も試して何回も成功したら、それは「目的を達成するためには、こういう時にこうすればいい」という新しい判断基準となります。
これらの一連の思考を反射的にできるようになるまで繰り返せば、「判断基準をつくるための試行錯誤」スキルは身につきます。
【「実際に行動するときに行う状況把握」スキル】
自分が現在置かれている状況を把握するために、まず何に注目するかを決めておきましょう。
だいたいは、脅威の度合いが高いもの(危険なもの)から注目していくとよいです。
たとえば、敵と撃ち合うゲームで、敵と戦っていない状況だと…
自分の周りの地形を把握
↓
自分が使える攻撃法(使える武器、武器の残弾など)を把握
↓
敵がいるかいないかを把握
(複数いたとする)
↓
敵のそれぞれの位置(自分との距離、方位)を把握
↓
敵のそれぞれの予想される攻撃法を把握
↓
把握した位置と予想される攻撃法から、それぞれの敵の脅威の度合いを把握
↓
それらを把握した上で、判断にうつる。(逃げるか、攻撃するか、攻撃するならどの対象からするか、など)
状況を把握する方法は、ゲームによって変わるものですが、きちんと注目するものの順番を決めておきましょう。
(画面に表示されるもののうち、どれから注目するかを決めておく、ということです)
そして、注目するものの順番のルーチンを、反射的にこなせるようになるまでひたすら繰り返しましょう。
このルーチンが反射的にできるようになれば、ことあるごとに状況を素早く確認できます。
そしてその「ことあるごとの確認」は、
「確認した状況の変化に対応して、目的のために今しなければならないことはなにか?」
という問いにつながり、判断を臨機応変に下すことにつながります。
【「把握した状況と判断基準にもとづいて判断」するスキル】
状況を把握したあとで、その状況に適した判断基準があるなら、その判断基準にしたがえばよいです。
同じ判断、あるいは同じような判断を繰り返していくと、その判断を少しずつ反射的にできるようになります。
状況を把握したものの、その状況に適した判断基準がないなら、新たに試行錯誤して判断基準をつくることになります。
が、その試行錯誤ができるのは、自分が今直面している「判断基準のない状況」に対処したあとの話です。
まずは、目の前で起こっている判断基準のない状況に、判断基準のないまま対応しなければなりません。
どう対応するのか。
それは、目の前で起こっている事実を整理し、自分の蓄積した判断基準(知識、経験)と照らし合わせ、
「目的のためには、こうすればいいのではないか?」
というアイデアを生み出すのです。
つまり、「判断基準を生み出す試行錯誤」スキルの、試行錯誤の一回目の思考をその場で行うのです。
成功するかはわかりません。
成功率が高いと考えられる、その時の自分にとっての最善の行動をとるのみです。
その最善の行動を繰り返すことで、目の前で起こっている事実を整理するスキルが高められ、また、自分に蓄積される判断基準(知識、経験)も深まっていき、より判断基準がない状況での成功率を高めていくことができるでしょう。
●決断スキル
【自分の判断スキルと身体的スキルへの信頼】
自分のさまざまなスキルを信頼するには、それぞれのスキルを使って成果を出し、そしてその成果を出したことに自信を持たなければなりません。
では、成果を出して自信を持つためにはどうすればよいのか?
そのためには、まずはどれだけ小さくてもよいので、小さいことを完成、成功させましょう。
そうして小さな成果と小さな自信を積み上げることで、自分のスキルへの信頼を積み上げていくことができます。
【勇気】
「精神的スキルの身につけ方」で説明します。
●●●身体的スキルの身につけ方●●●
●基本操作
●複雑な組み合わせ操作(or 応用操作)
操作は、繰り返すのみです。
繰り返す以外では、十字ボタンやレバーの持ち方、力の入れ方、入力の仕方などに工夫をするのもよいでしょう。
あるいは、ゲームをする時の姿勢について考慮してみる必要があるかもしれません。(前のめり過ぎて操作しにくくなっている、等)
●持久力(スタミナ)
持久力も、繰り返しプレイしていればついてきます。
もちろん、スポーツのような、基礎体力を向上させるフィジカルトレーニングをするのもよいでしょう。
操作と同じく、ゲームをする時の姿勢が持久力に影響するときがあるので、気をつけましょう。(姿勢が悪いと早く疲労してしまう)
●●●精神的スキルの身につけ方●●●
●平常心
平常心、つまり「心が落ち着いた状態を維持するスキル」はどうすれば身につくか。
勘違いしてはいけない点が1つあります。
それは、まったく同じ「緊張する状況」においてトレーニングを繰り返しても、平常心の維持の強化にはさほどつながらないということです。
どういうことかといいますと…
たとえば、ゲームにおいてラスボスと戦うことは緊張するものです。
そこで、そのラスボス戦での緊張を減らすために、繰り返しラスボスに挑戦するとします。
この挑戦の繰り返しにより、緊張は少しずつ減っていくでしょう。
しかし、この緊張の軽減は、すでにどういうことが起こるのか(どういう緊張を感じるか)を知ってしまった状況を繰り返すことによって、単に「そのラスボス戦」に慣れているだけで、平常心の訓練にはなりません。
平常心とは、そもそも自分の判断基準にないこと(予想外、あるいは未知のこと)が起こったときにも、心の落ち着いた状態を維持できるというスキルです。
そのトレーニングをするには、緊張を感じる特定の状況を繰り返し体験することではなく、判断基準外や予想外の状況を繰り返し体験するしかありません。
個人でそのトレーニングをするためには、なにかしら「自分が知らないこと」や「自分がしたことのないこと」に対する行動を実行する必要があります。
(一言でいうなら、新しいことに挑戦する、ということです)
そのようにして、「特定のラスボス戦」に慣れるのではなく、「未知である状況」や「予想外のことが起こる状況」に慣れるようトレーニングしなければなりません。
では、「未知の状況」や「予想外のことが起こる状況」に身を置くことができたとして、その状況下でどうすれば、平常心の維持の強化につながるのか。
以下のような行動や考え方をするとよいです。
・呼吸を整える
緊張すると心臓がバクバクして呼吸が乱れます。
呼吸(つまりは身体)が落ち着いていないと、心を落ち着かせることも難しいです。
なので、まずは呼吸を整えることで、精神状態を整える下地を作りましょう。
どんな時でも、まずは呼吸を整えることを意識的に繰り返しましょう。
とくに、息を吐くことを意識的にやりましょう。
・自分の精神状態を自覚し、その事実を受け入れる
自分の緊張や感情を自覚しましょう。
「今、プレッシャーを感じて緊張しているな(精神に負荷がかかっているな)」
「今、成功したことで自分は喜んでいるな」
「今、ミスをしたことで自分は動揺しているな」
と考え、自分の精神状態を自分で把握するのです。
この、自分の精神状態を自分で把握するチェックポイントを、自分の思考パターンに組み込みます。
そうすることで、常に自分の精神状態を客観的に観察して、常に自分自身の状況を把握します。
そうして、緊張や動揺、喜怒哀楽を感じていることを把握したら、受け入れたのちに消しましょう。
私のことについてお話ししますと、緊張や動揺については、
「あー、緊張(動揺)してるわ。それは生物としてしょうがないから次行くか」
と考えて消します。
感情については、
「勝って喜ばず、負けて悲しまず」
と念じることで、理想的な(落ち着いた)精神状態をイメージして感情を消します。
(私は「消す」という表現を使っていますが、消さなくても「気を取られないようコントロールできる」ならなんでもかまいません)
こうして自分自身の精神の状況を把握して対処することで、自分の周りで起こっていることの状況(環境)を把握する下地が整います。
(つまり、自分の内側で起こっていることを事実として受け入れて対処できたら、自分の外側で起こっている事実も受け入れて対処できる)
この下地ができることにより、知能的スキルが発揮されるようになります。
・精神的余裕をもっておく
状況の予想外の変化に対応できるようになるには、精神的な余裕が必要です。
精神的な余裕は何によって生み出されるのか。
それは、2つの余裕を作ることにより、生み出されます。
まずは、その言葉どおりの精神的余裕です。
この精神の余裕を生み出すには、価値観(心のあり方)を変えるトレーニングが必要です。
どういうことかといいますと、
「計画したことは絶対で、その通りに進めなきゃならん。予想外のことなどおこるはずがない」
という価値観を持っていては、予想外のことに対応することなど不可能です。
この価値観だと、予想外のことが起こったという事実に目と耳をふさいで知らんぷりして、事態がとりかえしのつかない段階になるまで放置したり、
あるいは、予想外の出来事に対してパニックに陥って、大混乱の果てに場当たり的な対処を繰り返して大迷走するのがオチです。
ですので、価値観を変えます。
「予期せぬことが起こる、と予期するようにせよ」
とは昔々のどこかの国のトップが言ったという言葉ですが、この価値観を自分に植えつけます。
この価値観を持っていると、予期しないことが起こったら、「はいキター!」と余裕をもって対応できます。
2つ目は、資源の余裕です。
お金、空間、機能などに余裕を持たせておくと、予想外のことに対応しやすくなります。
ふだんの生活に関して例を一つあげるなら、予想外の出費にそなえてお金を貯めておくようにする、ということです。
あらかじめお金(資源)に余裕を持たせておくことにより、予想外の出費に物理的に対応できるようになるだけでなく、精神的な余裕も生み出すことができます。
(お金に余裕があるので、追いつめられた精神状態にならない)
以上、2つの余裕、
「価値観を変えることによる精神的余裕」と
「資源の余裕を作ることによる精神的余裕」
これらを得られるようにするために、価値観を変えるよう、そして資源の余裕を作ることが習慣となるよう、トレーニングしましょう。
●勇気
勇気、つまり「恐れずに立ち向かう精神の力」を身につけるにはどうすればよいか。
勇気を持つには、自分の力を信頼する必要があります。
自分の力を信頼するには、少しずつ小さな成功体験を積んでいくのがよいでしょう。
(ささいなことでも、できないことをできるようになっていく)
たとえば、何らかの戦いの最中、
「この読みだと思うけど…」
と自分の頭が判断したときに、思い切ってそう行動してみます。
成功したら、勇気と判断基準について少し自信を持つ。
これが次の勇気につながります。
失敗したら、挑戦した勇気が悪かったわけではなく、判断基準が悪かっただけなので、勇気は維持して判断基準を修正します。
(勇気はあり、判断基準もその状況では最適だったが、運だけが悪かった、ということもあるので、その点は客観的に分析する必要がありますが)
こうして失敗を重ねつつも小さな成功を積み重ねて自分の力への信頼が高まっていくと、失敗を恐れない勇気や、他者と違う行動をすることを恐れない勇気が育っていきます。